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民法改正!②

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2020年4月1日に民法が改正されます。

当コラムをご覧頂いている不動産賃貸をされておられる皆様、不動産の売買をされる皆様には多少なりとも関係がある改正となります。

弊社は、定借.comの土地有効活用や不動産仲介、売買、コンサルティング業務を行っていますが、民法が改正されることにより、不動産の取引にも影響があり、この改正に対応をする必要があります。

今回は不動産売買の際に影響がある改正を見てまいります。

 

《不動産売買の際に影響がある改正》

■「瑕疵担保責任」という表現が無くなり、「契約不適合責任」に

【現行民法第570条】

売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、第566条の規定を準用する。ただし、強制競売の場合は、この限りでない。

【改正民法第562条】

引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。

《一般的な売買契約書の「瑕疵の責任」条文例》

1.売主は、買主に対し、土地の隠れたる瑕疵、および建物の隠れたる瑕疵につき以下のものに限り責任を負います。

(1) 雨漏り

(2) シロアリの害

(3) 建物構造上主要な部位の木部の腐蝕

(4) 給排水管(敷地内埋設給排水管を含む。)の故障

なお、買主は、売主に対し、本物件について、前記瑕疵を発見したとき、すみやかにその瑕疵を通知して、修復に急を要する場合を除き売主に立会う機会を与えなければなりません。

  1. 売主は、買主に対し、前項の瑕疵について、引渡完了日から3ヶ月以内に請求を受けたものにかぎり、責任を負うものとし、買主は、売主に対し、前項の瑕疵により生じた損害の賠償または瑕疵の修復の請求をすることができます。
  2. 買主は、売主に対し、第1項の瑕疵により、本契約を締結した目的が達せられないとき、引渡完了日から3ヶ月以内にかぎり、本契約を解除することができます。
  3. 売主は、買主に対し、本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知らなくても、本条の責任を負いますが、買主が本契約締結時に第1項の瑕疵の存在を知っていたときは、売主は本条の責任を負いません。

→表現が変わるだけでなく、内容も変わります。

買主が契約時に知っていた契約不適合も売主の責任となる可能性があります。

契約書条文例の第4項に記載のように、現在は、買主が瑕疵の存在を知っていたときには瑕疵担保責任を負わないこととしていますが、民法改正後は、わかっている瑕疵についても責任を負わないことを明記する必要があると思われます。

 

■修補請求や代金減額請求が可能に

現行民法上、不動産に瑕疵があった場合、買主ができる請求は次の2つ

・損害賠償請求

・目的を達せられないときは売買契約の解除

【改正民法第563条】

1.売買の目的である権利の一部が他人に属することにより、売主がこれを買主に移転することができないときは、買主は、その不足する部分の割合に応じて代金の減額を請求することができる。

2.前項の場合において、残存する部分のみであれば買主がこれを買い受けなかったときは、善意の買主は、契約の解除をすることができる。

3.代金減額の請求又は契約の解除は、善意の買主が損害賠償の請求をすることを妨げない。

 

→改正民法では、修補請求や代金減額請求も可能になります。

現在は、契約書条文例第2項に記載のように、瑕疵の修復の請求が記載されています。改正後は、損害賠償、契約解除、修補請求、代金減額請求の何れかの責任を負わない等の特約で対応する必要があると思われます。当然宅建業法や消費者契約法の規定に抵触しないことが前提となります。

 

■契約不適合があった場合の解除について

【現行民法第541条】

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。

【改正民法第541条】

当事者の一方がその債務を履行しない場合において、相手方が相当の期間を定めてその履行の催告をし、その期間内に履行がないときは、相手方は、契約の解除をすることができる。ただし、その期間を経過した時における債務の不履行がその契約及び取引上の社会通念に照らして軽微であるときは、この限りでない。

→現行民法では、瑕疵が原因で契約の目的が達成できない場合に限り、買主は契約解除ができましたが、改正民法では、軽微でない瑕疵があれば契約の目的を達成できるか否かにかかわらず契約が解除できるようになります。但し、軽微がどの程度のものであるかは今後の判例を見ていく必要があります。売買契約書で別途内容を定めた場合は、契約書の内容が優先されるので、買主サイドから見た場合、契約書条文例の第3項のままでは不利になってしまうことを考慮する必要があると思われます。